評価センター資料閲覧室

固定資産評価基準の今日的意義とその課題 第8回 固定資産評価研究大会報告書

 

X.特別講演

「津山市における合併を踏まえた固定資産税システムの統一について」

 

 
  岡山県津山市財政部課税課長
  岸川 洋一(きしかわ よういち)
 
 
 
昭和46年 津山市入庁
財政部収税課・産業部庶務課・農村整備課地籍情報係長・財政部課税課資産税第1係長・課税課主幹・財政部企画主幹
  
 
研究大会プログラムより
    
 津山市においては、地方分権の進展や生活圏の広域化、少子高齢化の進行に加えて行財政基盤の強化等への対応のため、1市3町1村で平成16年5月28日に合併協定の調印を行い、現在、平成17年2月28日の合併に向けて事務事業の詳細な調整を行っているところである。
 固定資産税賦課事務については、全市域を完了している国土調査成果による電算地図情報システムを基盤として土地・家屋評価事務を実施しており、合併する町村地域の地図データ整備並びにその精度向上が重要課題となっている。
 今回の特別講演においては、津山市の土地評価システム並びにベースとなる統合型GISの現状と、課税客体の把握に必要な地番現況図・家屋現況図のデータ整備の手法等を併せて紹介する。
 また、市町村合併に伴い、全庁的な電算システムの統合基本方針、固定資産税システム統合における諸課題、そして平成18年度評価替えを見据え、現在、新市の評価方法の統一を図るため調整協議中であり、これらの内容にも触れたい。

 

※ 特別講演配布資料(P.391以降)と併せてご覧下さい。


はじめに

 皆さん、こんにちは。私は、岡山県津山市の岸川といいます。岡山県北部の田舎町から出てまいりました。
 きょうは、貴重な時間をいただきまして、大変光栄に思っているところでございますが、合併につきましては、既に合併されているところ、あるいは合併しないところもあろうかと思いますが、ほとんどの市町村におかれましては、合併に向けて、特に中心となる市町村におかれましては、どう言いましょうか、涙がこぼれるとかいうような難しい問題を抱えながら頑張っておられることと思います。既に合併された市町村の方から、固定資産税の業務が一番忙しい思いをしますよとお聞きしていたわけですが、まさにそのとおりだなと感じているところでございます。
 また、私どもの固定資産税の業務は、すべてと言っていいほど、地図システムで行っておりまして、統合型GIS の一部として機能しております。GIS が固定資産税の業務を取り込んだ形になっておりまして、システム運用の効率性を高める大きな要因の1つとなっております。統合型GIS につきましては、関西では豊中市さんとか、西宮市さん、関東では横須賀市さんとか、市川市さん、そして浦安市さんなどが進んでいること、私ども十分承知しておりますが、地方は地方なりに、私どもは私どもなりにシステムの構築を図ってまいりました。
 今回、お話をさせていただくのに、なぜ私どもがということと、ほんとうに私どもでお役に立てるのかという不安がございます。町村における固定資産税システムの統合並びに平成18年度評価替えの対応につきましては、町村分の地図並びに税マスターのデータ変換はあまり心配しておりませんでしたが、それよりはむしろ、町村の不足分のデータ整備、また、それらの精度の向上、要はレベルアップでございますが、それが重要な課題となっております。町村の職員の方におかれましては、固定資産税も担当し、納税も担当し、そして市民税の申告も受けといったように、オールラウンドで仕事をされております。そのことを考えますと、データのレベルの低下等、やむを得なかったのかなと思っているところであります。
 現在、既に町村の地図と税マスターを私どもの地図システムに入れておりまして、地図を打ち出して、市の職員で現地調査に出向きながら、データ整備等行っているところでございます。参考にならない市町村の方もおられるかもしれませんが、そのあたりはご勘弁いただきたいと思います。
 また、私ごとですが、不慣れなものですから、皆様方にご迷惑をおかけするかもしれませんが、何とぞよろしくお願いします。
 まず最初に、私どもの土地評価システムの現状について、それから、そのもとになる統合型GIS について、そして、評価替えにおける町村分のデータ整備等について、システムの統合を交えながらお話をさせていただければと思います。

津山市(新市)の概要(P.393)

 まず、津山市の位置でございますが、岡山市と鳥取市のちょうど中間にありまして、車でそれぞれ1時間ちょっと、大阪まで2時間半ぐらいの位置にございます。合併後の面積でございますが、大変大きな面積になるんですが506平方キロ、人口が111,000、世帯数が42,000、土地評価筆数は303,000、その内宅地の評価筆数が106,000、家屋棟数が83,000、路線価地区の路線の本数2,700、その他地区もすべて路線を振っておりますので、それが5,500、町村につきましてはその他地区の比準方式でございます。
 合併後の土地の利用状況でございますが、田が62平方キロ、山林が209平方キロ、山と田んぼに囲まれました岡山県北部の地方都市と言えます。
 国土調査の進捗状況でございますが、久米町を除きましてすべて100%でございます。久米町分につきましては、国土調査完了まで成果を課税に反映しないということで、国土調査地積と登記簿地積の少ないほうを課税地積とすることにしました。事務が大変複雑になってくるわけですが、国土調査を早期に完了する方向で協議しているところでございます。
 地籍の情報化でございますが、前述と同じでございます。地籍データの正確性、津山市は「有」、町村につきましては「再検証必要」ということで、私どものシステムで土地を評価する場合、町村の地籍データが使用できるかどうか検討した結果、誤りがあるので使用できないということで再検証が必要となりました。土地評価システムでございますが、津山市は「導入済」、町村につきましては地籍管理システムは導入されているようですが、土地評価システムは未導入でございます。
 続きまして、合併における重要な課題。町村分の画地とか、住宅判定等の見直し、同じく町村分の地籍図(地番図)データ、家屋図データの精度の向上、同じく町村分の平成18年度評価替えにおける評価手法、そして、納税義務者の統合等がございます。
 アとウにつきましては、市の職員でデータ整備中であります。イの地籍データにつきましては、平成17年度から他部署で整備する予定でありまして、家屋図データにつきましては、私どものほうで2、3年程度で整備する予定でございます。エでございますが、電算上で統合したチェックリストが来週ぐらいに届く予定ですので、慎重に確認することとしております。

1.土地評価システムについて(P.394)

 続きまして、1番の土地評価システムについて、「はじめに」ということで、私ごとですが、大変恥ずかしい話なんですが、国土調査担当課に20年間おりました。そのときに地籍のデータ整備を行いまして、それと並行しまして地籍管理システムを業者と一から共同開発しまして充実させました。その折には大変苦労したわけですが、そのことは後に触れるとしまして、7年前に固定資産税にかわってきまして、そのときにはシステムはありましたが、間口、奥行き、蔭地割合の計算をシステムでさせて、その数値を異動連絡票に記入してバッチ処理をしておりました。かわってきて1年間ほど様子を見たわけですが、同じことを2度も3度も手書きをしておりました。これではまずいということで、平成11年度より事務改善のためのシステムの再構築を行いました。
 まず、システムの構成でございますが、地図情報だけの端末に終わっているとよくお聞きするんですが、それではハードがもったいないので、地図を見ながら翌年賦課もでき、そして、従来からの税情報、住民情報も見え、そして家屋評価計算システムも動かせるというようなシステムを構築いたしております。
 続きまして、表示データの構成でございますが、一番下の部分で共通情報としまして地籍情報、航空写真、都市計画図などがございます。その上に固定資産税の独自の情報を重ねて処理を行うわけですが、真ん中の部分、合併対応としまして、岡山県が最近、県下全域航空写真を撮りましてデータ化しております。合併地域のデータをいただきまして、既にシステムの中にセットしております。国土地理院の25,000の数値地図、これも同様にセットしております。これらは既に活用しているところでございます。
 続きまして、固定資産税のシステム化の流れですが、昭和63年に土地家屋現況図、紙ベースでございますが、作成をいたしております。それをもとに平成3年に土地と家屋との情報を連携させた認定簿を作成いたしました。平成7年には土地評価システムを導入、それと並行しまして家屋の図形をデータ化しております。平成11年には家屋評価システムを導入、そして平成11年から14年には総合計画によりまして地図を利用した事務改善を行っております。
 以下、その内容を書いているわけですが、(2)の現況図の作成、昭和60年から62年に土地家屋の全筆・全棟現地調査を行いまして現況図を作成しております。土地評価システム導入まで職員で紙ベースをメンテナンスしておりました。
 (3)の認定簿の作成、土地と家屋との連携でございますが、上記現況図をもとに作成をしております。これは1枚の帳票に土地の情報と家屋の情報を合致させたものであります。代表地番に画地を構成している他の筆の情報、画地内に存在する家屋の情報が集約されておりまして、特徴は、家屋の情報にも土地の代表地番を持たせておりまして、この認定簿があったことでシステム化がスムーズにできたと思っております。
 重要な課題の1つに、町村分の画地とか、住宅判定の見直しがございますが、町村ではこのデータがないため、市の職員で現地調査に出向きながら、現在、データを整備中でございます。全棟・全筆調査でございます。
 405ページを見ていただきたいんですが、皆様方のところも同じような帳票を持たれていると思いますが、簡単に項目を読み上げさせていただきます。
 1筆に1枚の帳票がありまして、まず最初に所在地番、利用区分、台帳地目、現況地目、そしてその筆の地積、都計のあるなしの判定、課税・非課税の判定、間口、奥行き、そして画地の全体面積と筆数、そして画地の代表地番が来まして、その他の構成地番。
 その下の段にいきまして、住宅用地とか、非住宅用地の判定、ここの部分は混在地でございます。そして、住宅部分面積に非住宅部分面積、全体の戸数に筆数。
 下の段にいきまして、個別の補正と、そして1m2当たりの単価、そしてその筆の評価額。
 その下の段にいきまして、蔭地割合、そして昭和63年からの単価。そして、真ん中の部分が家屋の情報でございまして、画地、要は土地の代表地番、そして家屋の所在地、家屋番号、棟番、そしてずっといきまして、1階の床面積、1階以外の床面積。そして、居住部分面積と非居住部分面積と戸数。
 そして、一番下にいきまして家屋の配置状況、住宅用地の計算式、住宅用地面積、非住宅用地面積。そして、最後に画地の全体の状況が記載されております。家屋の情報に画地の代表地番を持たせることにより、土地と家屋の情報を連結させています。
 この認定簿の情報を地籍の図形にぶつけましてシステム化を図ったものでありまして、この認定簿は私どもの評価並びに地図システムの生命線でございます。公開するかどうか大分迷ったんですが、きょうここに持ってくることといたしております。住宅用地の特例、都市計画税の判定等、誤りがないかどうか職員がSQL を使用しまして、家屋マスターから土地マスターへと、そして反対に土地マスターから家屋マスターへと随時に検査をしているところでございます。この認定簿につきましては、後からぜひともご意見とかご指摘をいただければと思っております。
 続きまして、(4)土地評価システムの導入・家屋図形のデータ化でございますが、現況図の紙ベースと同じものがシステムで見えるようになったものでして、家屋の情報は画地内をクリックすると、画地内のすべての情報が表示されます。それだけではわかりにくいので、家屋図形の中に、要は文字、記号なんですが、入れております。家屋のマスターをすべての家屋図形に振りつけるのは不可能なので、このような方法をとったものでございます。
 記号ですが、もうおわかりと思いますが、1902‐12が家屋番号、01‐01が種類と構造、01‐02が屋根と階数、そしてH06は建築年でございます。増築等で家屋図形にあらわれないものにつきましては、建築年の後にまた記号を持たせるようにしております。
 続きまして、(5)の家屋評価システムの導入でございますが、導入に当たりましては業者が異なるので、できる限り既存のシステムとの連携ができることを第一選定条件といたしました。家屋図形のメンテナンスでございますが、委託のための書類整備をするよりは、職員でメンテナンスするほうが早く、また、委託料も要らないということで、このような方法で行っているわけですが、まず最初に、家屋評価計算システムで投影図を描いてサーバーに保存をしておきます。そして、土地評価システムのほうから投影図データを取り込みます。境界までの距離が表示されておりますので、家屋図形を動かしながら、その距離を見て所定の位置にセットして更新をかけております。
 続きまして、(6)の総合計画でございますが、2、3紹介させていただきたいと思います。@の過年基準年度単価計算、昭和63年からの路線等を職員で入力しておりまして、それを使用しまして基準年度ごとに路線をマウスでクリックいたします。そして、間口・奥行き・蔭地割合の計算をいたしております。この数値は、翌年賦課画面に登録されるようになっております。
 続きまして、AとBでございますが、地籍のデータは情報管理課地図情報係で税通により日々メンテナンスしておりまして、登記の異動履歴も入力しております。翌年賦課並びに土地台帳システムの入力画面で登記参照ボタンを押しますと、先ほどの登記の異動履歴が表示されます。この場合は土地台帳システムでございますが、入力をしますと、台帳時と同じような構成で画面表示されまして、プリントアウトもできるようになっております。
 続きまして、これが地図関係の初期画面でございます。翌年賦課をする場合は固定資産税のシステム最新で行います。それから、過去の5年間、1月1日のデータを保存しております。そして、合併する町村のデータも取り込んでおります。税宛名マスターの連携ですが、これもいつでもとれるような体制をとっております。
 続きまして、Cのシステム化の効果でございますが、直接的効果として平成10年から平成21年度までを推計しております。データを職員みずからがメンテナンスすることによる委託料の削減が大きいところでございます。昨日、高浜の市長さんが外部委託のこと、アウトソーシングのことをお話しされたと思いますが、どうも逆行しているような感じが見受けられます。
 委託料などの削減ということで8,400万、そして総合計画の事業費・保守料が6,000万、効果が十数年で2,400万程度ございます。事務的な効果としまして、省スペース化はもちろんのことでございますが、実はちょっとやり過ぎた感がありまして、平成15年に職員1名減員させられました。その上に持ってきまして、平成15年と12年を時間外を対比させましたところ、2,500時間ぐらい時間外が少なくなっております。この総合計画自体、大成功だったなと思っているところでございます。効果につきましては、詳細は昨年の分科会の資料を見ていただければ結構かと存じます。

2.津山市の統合型GIS について(P.397)

 続きまして、2の統合型GIS について、ネットワークとGIS ということで独自の回線が3本ございまして、一番真ん中の部分が従来からの福祉情報、税情報、住民情報といった基幹系でございます。その外側がグループウェア系、そして一番外側がインターネット系でございます。それぞれサーバーを置きまして地図情報を配信しているところでございます。合併を機にグループウェア系とインターネット系、これを1本にすることとしております。
 続きまして、GISの利活用。現在の構成ですが一番上の水道から一番下の土地評価システムまで、基幹系がこういった構成になっております。
 続きまして、ベースマップでございますが、地籍図と都市計画図と航空写真、この3本柱となっております。
 続きまして、きらきらつやまっぷ(WEB 版公開システム)でございますが、防災情報から路線価の公開まで、こういった情報を現在配信しております。路線価の公開ですが、昨年の4月から公開をしております。アクセス件数ですが、月平均200件程度アクセスがございます。この中で1割が実際に利用していただいていると仮定しましても、私どもでは十分と思っております。特に遠方からの閲覧者はなくなりました。利用していただいている方にお聞きしましたら、固定資産税とか登録免許税、そして不動産取得税のおおよその税額を把握するために利用しているとのことでございました。
 申しわけないんですが、406ページを見ていただきたいと思います。GIS の機器構成でございます。現在、基幹系の先ほどの機器はこういった構成になっております。イントラネットのGIS と「きらきらまっぷ」のGIS のサーバー、実はパソコンをサーバーとして使っております。機能が大分劣っているわけですが、それでも動いておりますので安心しているわけですが、できるだけ早い機会に交換をしようと考えております。
 続きまして、情報化事業でございます。(1)の地籍図の数値化。昭和60年当時、住民・福祉・税情報などの文字情報がほぼ充実しておりまして、あとは地図情報だなということで地籍図の数値化には注目しておりました。昭和63年から事業を開始しまして約6年かけて市内全域のデータ整備を行っております。
 手法でございますが、数値情報化の作業手順等は別紙に示したとおりでございます。特徴は、委託前に紙ベースで地図と属性の突合を職員でしておりまして、エラーなどはすべて修正しております。これはエラーの発生原因を解明するための作業に時間がかかり過ぎまして、責任の所在把握が困難になると判断したためでございます。つまり、市が誤っているのか、法務局が誤っているのか、業者が誤っているのかとわけがわからなくなるということでございます。事実、私ども、当初、業者さん任せにしておいて大変苦い思いをしております。
 それで、407ページを見ていただきたいと思います。情報化のフローチャート、簡単に説明させていただきます。左側が地図、右側が属性であります。まず最初に、原図を引っ張り出しまして、2番でマイラー化、透き通った図面をこしらえます。4番で法務局の地図とすべて照合をかけます。そして、6番では税マスターから属性リストを全部打ち出しまして、7番で法務局の登記簿と照合をかけます。そして、9番、10番、11番で地図と属性リスト、紙ベースですべて突合をかけます。
 属性リスト、1番地から順番に読み上げまして、地図のほうをすべてチェックをかけます。そうしますと、属性リスト、地図、どちらにもチェックがないようなものが出てきますので、それらをすべて処理しまして、それを業者さんにお渡しします。業者さんのほうでは12番で地図の図形をつくっていただきまして、13番では税マスターにない属性を電子化していただきます。そして、14番で電算上で突合をかけていただきまして、エラーがないということになれば成果品として納入していただきます。
 実は、これによって一番喜んだのは法務局でございました。山のように地図や登記簿の誤りが発見されました。津山市だけで1,000件以上あったかと思います。合併における重要な課題の1つに、町村分の地籍図(地番図)データの精度の向上がございます。地図情報係に職員を2名増員しまして、平成17年、18年、19年の3年間で誤っている部分の図形データの再整備をすることとしております。
 続きまして、資産評価システム研究センターから地番現況図・家屋現況図の基準マニュアルが最近出されております。以前は現況図の作成プロセスを明記したものと聞いておりますが、今回は品質水準を明示し、製品の仕様が明確になっているとのことでありますが、目的を見ますと、そこに記載しているアからウまで、合併に伴う地理情報の整備まで、こういった項目が挙がっているようでございます。確かに合併を機会に現況図を作成する市町村が多いと聞いておりますが、現状では失礼な言い方ですが、業者さん任せがほとんどだろうと思います。
 このマニュアル以前の問題としまして、このままでマニュアルの目的が達成できるかどうか、私個人の考えですが、大いに疑問を持っております。私どものグループで相談してみたわけですが、うちがいい例だがなと。最初はデータが悪くてだれも使ってくれなかった。見向きもしなかった。データがよくなった途端に、放っておいても使ってくれ出したじゃないか。最低でも切り絵図と税マスターの突合だけは職員で行うべきだろうとの結論でございました。
 業者さんはデータづくりはプロであっても、完璧はないと思います。我々市町村は業者さんには企業努力していただきまして、費用を少しでも安く、また、データの誤りも少なくしていただくようにお願いし、我々自身もより精度のよい資料をお渡しすべきと思います。業者さんは、仕事を受ける立場なのでなかなか言いにくいとは思いますが、精度のよいデータづくりをしようと思ったら、どのようにすればよいか、市町村を指導すべきと思います。
 マニュアルの目的を達成するために、より正確なデータをつくるには、業者さんがどのようなお考えを持っておられるか、せっかくの機会なので、ほんのわずかですが、時間をここでとってお聞きしてみたいと思います。このマニュアルの委員さんの中に大手業者さんが入られております。この会場におられましたら、本音の部分を皆様の前でおっしゃっていただければと思うんですが、おられませんか。すみません、おられたらと思ったんですが、どうもおられないようなので。
 私、何が言いたかったかといいますと、事務改善等、マニュアルの目的を達成しようと思えば、正確な地番図、家屋図のデータが絶対必要で、業者さん任せではなく、市町村主導でお互いに頑張って、よりよいデータをつくりましょうということが私は言いたかったわけでございます。
 続きまして、(4)統合型GIS(現在)までの私どもの道のりということで、@、少しずつシステムの構築をしまして、統合型へと推移してきました。実際にはお金がなかったので一度にできなかったわけですが、今から思えばそれが幸いしたと思っております。
 Aで税情報、住民情報等のシステム会社と共同開発したものでございまして、将来的なデータの変換も視野に入れておりました。指示書をたくさん出してソフトを組んでもらったわけですが、当初のころは失敗の連続で、今度失敗したら地図情報から業者さんが撤退するというところまでいきまして、今から思えば懐かしく思います。
 B、これさえあれば幾らでも利活用がどんどん広がると思います。昨年度、電算処理の要望を情報管理課が集計したところ、半数は地図情報の活用でございました。
 C、地図情報はメンテナンスが命でございます。この体制を考えてシステム化に取り組むべきと思います。私どもでは、情報管理課地図情報係が基本図データを管理しております。
 D、裏づけのある計画が必要であります。私どもも計画に取り込んでもらいまして事業を推進してまいりました。
 E、各部署の要望を聞いていたらなかなかまとまらず、2、3名の強いリーダーシップのもとに推進してきました。予算要求をしますと、必ず他部署との調整はできているのかと聞かれます。予算獲得のための重要な位置づけとなっております。
 F、データ量等を考えれば、これに助けられた部分がございます。

3.合併について(P.399)

 続きまして、3番の合併についてでございます。合併の必要性でございますが、地方分権の進展への対応から、行財政基盤の強化まで、こういった項目を挙げております。皆様方のところも同じような項目を挙げられているところもあろうかと思います。現在までの経過なんですが、平成14年2月に研究会を設立、10月には準備協議会を、12月には任意協議会を、そして平成15年4月に法定協議会を設置いたしまして、16年5月に合併協定の調印をしております。
 合併の方式でございますが、加茂町、阿波村、勝北町、久米町を津山市に編入することといたしました。合併の期日は、平成17年2月28日。新市の名称は、津山市でございます。

4.合併に伴うシステムの統合などについて(P.400)

 続きまして、合併に伴うシステムの統合などについて。基本方針でございますが、住民サービスに支障を来さないで安定したシステム運用が合併当初から行えるようにすることが基本的な考え方でございます。
 Aの統合の形態。「新たにシステムを開発する」「現在のシステムのうちから、いずれかに一元化する」「システムを継続して複数運用する」の3つが考えられると思いますが、システムの安定性を最優先に、いずれかに一元化することといたしました。
 統合の方法。統合の対象となるシステムの決定ですが、108のシステムがあったように聞いております。統合するもの、現行どおりにするもの、廃止するものの3つに分類をいたしております。
 続きまして、一元化するシステムの選定。このあたりが一番慎重に対応したと聞いております。原則として、各市町村の現行システムからデータ量、処理量の最も多い情報システムに一元化することといたしました。
 続きまして、水準でございますが、機能面では現状維持を基本。運用面においては信頼性を最優先することといたしております。
 続きまして、ネットワークの構築でございますが、現在、各団体が保有するネットワークインフラなどを最大限活用しまして、新たなネットワークを構築することとしました。
 それから、システム統合に係るスケジュールでございますが、町村のデータを7月に受け渡しいたしまして、データを現在統合中でございます。ネットワークの整備は10月末、終わりますと、業者のほうでテストをいたしまして、職員では12月と1月にテスト並びに操作練習をすることとしております。2月には既存システムとの並行稼働をかけることとしております。
 続きまして、ネットワークの接続図、411ページを見ていただきたいと思います。岡山情報ハイウェイ接続インフラを活用しました専用ネットワークの構築でございます。岡山情報ハイウェイは、現在、こういった構成になっておりまして、ネットワークの接続機器は岡山県の津山地方振興局内に設置されておりまして、各市町村がそれぞれ独自に接続をしております。それを新設の接続機器を振興局内に置かせていただきまして、各市町村の接続先を新設機器に変更をかけます。そうしますと、1つのネットワークができます。そして、従来からの住基とかインターネット系につきましては、新たにケーブルを新設いたしまして、出入り口を津山市に一本化いたします。こういった手法で10月末にネットワークができることとなっております。
 続きまして、(3)の新世代地域ケーブルテレビ施設整備でございますが、整備率等はそこに記載しているとおりでございます。加茂町、阿波村につきましては、役場と公民館とを結ぶ地域インフラが整備されております。回線の芯等を貸し出ししまして、または波長等変えまして整備を図らなくてはならないものと個人的に考えております。
 それから、インターネットの接続率、これがあまりにも低過ぎるので、このあたりもどうにか考えなくてはならないと思っております。
 続きまして、(4)行政組織機構に関する調べということで、主要な機能が本庁にほとんど移ってくると思いますが、それと並行しまして本庁のほうも人員等増えるはずなんですが、既に合併しておられるところにお聞きしますと、なかなか思うようにいかないというのが現状のようでございます。
 その他、例規比較票・予算の科目の整理とか、それから、納期の関係、減免、非課税、前納報奨金、部署は違いますが、固定資産の審査委員会の関係等の調整もございました。

5.市町村合併に関する状況と土地評価統合の取り組み(P.401)

 続きまして、5番の土地評価統合の取り組み。評価の統合方針でございますが、3年に一度の評価替え事務に対応するため、専任の評価替え班が2名おりまして、事務に当たっております。
 まず最初に、合併協定調印前の4月ごろ、町村の課税情報をいつでも閲覧できるよう、また、電子データももらえるよう守秘義務に関する覚書の取り交わしをいたしております。そして、市の職員が町村の土地、家屋の現地調査をしますので、職員の派遣依頼もいただきました。そして、土地評価マニュアルや状況類似地区区分図を収集しまして、また、資産評価システム研究センターのほうから配布されております路線価等、情報公開システムを活用しまして、位置や価格を調査いたしまして、土地価格を形成する要因等について分析を行いました。
 津山市分につきましては、評価替えごとに2,000筆程度、その他地区から市街地宅地評価法に格上げしていたわけですが、今回は取りやめ、現状維持することとしまして、町村分にその精力を注ぐことといたしました。
 町村分につきましては、路線を付設しようと思ったわけですが、何分にもお金と時間がございません。平成18年度の評価替えではエリア方式で行いまして、とりあえずそれでしのいでおいて平成21年の評価替えには主要なところだけ路線を振ろうと思っております。エリア方式は状況類似地区を再分割するもので、路線にかわるものであります。現在、職員で地図システムの画面上に税マスターの1平米当たりの単価を表示させまして、それを見ながらエリアを作成中でございます。現在、町村の価格は標準宅地の単価×指数で、要はパーセントであらわされているようでございます。それを平成18年度にはエリア単価×個別の補正率にすることとしております。
 指数の内容を調査したわけですが、土地の奥行きや形状による価格差はあまり重視されておらず、街路の状況や主要施設との接近距離を重視する傾向がありました。
 比準表の作成、標準宅地価格とエリア価格の関係でございますが、街路条件としまして、街路区分、道路幅員、バス路線の有無等。交通接近条件としまして、最寄りの駅、小学校、役場、幹線街路。環境条件としまして、家屋の状況、下水道の有無、周辺環境を考えております。
 個別の補正率表の作成でございますが、不整形、私道、面積過小、いみ補正、高圧線、歩道橋、大規模工場、これらを考えているんですが、無道路とか、奥行き補正につきましては悩んでいるところでございます。比準表、補正率表の内容につきましては、私見でございますが、現在、ほぼ固まっていると聞いております。こういった手法でよいかどうか、不動産鑑定士さんのご意見をお聞きしまして、お墨つきをいただくこととしております。

6.宛名の統合等(P.404)

 続きまして、宛名の統合でございます。合併が平成17年2月でありますので、平成17年度の課税は旧市町村単位となりますが、納税とか証明の係は特に宛名の関連性がわからないと事務ができないこととなります。また、納税組合、送り先、銀行口座等の情報が付随しまして、十分注意して統合を行わなければならないものと考えております。
 固定資産の納期につきましては、他の税目等の関係もありますが、平成16年は私どもの納期に既に合わせていただいております。
 続きまして、減免につきましては、減免の申請書を町村分をすべて見させていただいております。非課税関係につきましては、特に社会福祉法人とかいった個別のものについて確認をとっております。それから、前納報奨金につきましては、もう制度自体やめられるところが多いと聞いているのですが、私どものほうがたしか一番率が低かったようでございます。最近、町村では、前納されている方に個別に率が下がりますよという通知を出していただいているようでございます。それから、固定資産審査委員会の定数でございますが、これは変わらずでございます。
 以上、時間を余らせてしまったわけですが、下手な説明で申しわけなかったわけですが、皆様方のところの合併がスムーズに行われますようお祈りしまして、終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。